みなさま、こんにちは。
安曇野、白馬エリア担当の高力です。
季節は霜降から立冬へと向かう季節です。
霜降は北国や山間部で、霜が降りて朝には草木が白く化粧をする頃。野の花の数は減り始め、変わってやまを紅葉が飾る頃。
立冬は今年は11月8日です。この日から立春の前日までが冬とされるそうです。日が短くなり時雨が降る季節です。北国や高山からは初雪の知らせも届く頃です。
北日本では利尻山谷、旭岳、岩手山、10月22日には北アルプスの立山や富士山、南アルプスの甲斐駒ヶ岳で初冠雪が観測されたようです。立山は平年より14日遅れ、甲斐駒ヶ岳は平年より5日早い観測だそうですが大体暦通りに季節は巡っているようですね。
都市部や市街地から自然を求めて山間部へと電車や車で向かった時にあちらこちらでこんな景色を目にすることがあったのではないでしょうか。
そうです。松枯れです。
現在長野県でも被害は拡大していて、私たちの地区でも今年の春ごろに住民説明会かありました。
松食い虫による被害の対策の一つとして市が行なっている殺虫剤の空中散布に対して住民らが訴訟を起こし。差し止めをもとめています。
それに対し松本市は国の基準を守って散布するので健康への危険はないと全面的に争う姿勢を示しています。今年の6月にも松本市のいくつかの地域で空中散布が実施予定でしたが住民の反対を理由に業者側が難色を示し中止となっています。
今日は松本市のみならず、日本中で広がっている松枯れについては、中古物件を探す際にも気になる点だと思いますので、賛成、反対と言う前に、何が起こっていて、どんな解決策が望ましいのか、基礎的なところのみを皆さんと共有できたらと思います。
松枯れ(松食い虫被害)の歴史
日本において、現在確認出来る中で最も古い記録は、1905年の長崎市周辺のものだそうです。被害は近県に拡大し徐々に日本列島を北上していきましたが、特に戦中は松枯れ防除を行う余裕がなく被害が拡大したようです。
松食い虫とは
マツ材線虫病とは、まつ属を中心としたマツ科樹木に発生する感染症なのだそうです。
病原体は北米原産で日本を含むアジアやヨーロッパのマツ類に枯死を伴う激害をもたらしているようです。
松くい虫」という昆虫がマツを枯らしているわけではありません。病原体となるマツノザイセンチュウという微小な生物をマツノマダラカミキリという昆虫が健全なマツに運び、マツを枯らしてしまう伝染病です。正式には「マツ材線虫病」といい、アカマツやクロマツ、ゴヨウマツも感染します。
マツノザイセンチュウ(病原体)
(松本市公式サイトより引用)
長さ1ミリメートル足らずの小さな線虫がマツの材内に侵入して爆発的に増殖し、マツは水を吸い上げられなくなることなどにより枯れてしまいます。
マツノマダラカミキリ(媒介昆虫)
(松本市公式サイトより引用)
(松本市公式サイトより引用)
体長3センチメートルほどのカミキリムシの一種で、健全な松へマツノザイセンチュウを運びます。
松くい虫被害のしくみ
(上記写真は松本市のホームページから抜粋させていただきました。↓引用元↓)
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/smph/kurasi/sigoto/ringyo/sinrin/rin006_matukui.html
下の写真はくん蒸駆除の様子です。
ビニールで密閉して蒸剤の殺虫剤を入れるやり方だそうです。
下の写真株は松食い虫被害木を伐採して数年経った山の様子。
違う種類の樹木が成長してきています。
こういった樹種転換更新伐という方法もあるようです。
空中散布が特に危惧される理由は、ネオニコチノイド系の殺虫剤が使われるためのようです。
ネオニコチノイド系の殺虫剤はヨーロッパでは2017年にEU(ヨーロッパ連合)に加盟している国々の全農地で使用禁止となっています。少量でもミツバチの行動や学習能力を低下させたり、ウイルスへの抵抗力を弱めたりするという作用が確認されたことがきっかけとなっているようです。東京都医学研究所などが2012年に発表した論文でラットの実験を経て、人間の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があると指摘して日本経済新聞でも報じられているのを見れば、子供を育てる親たちが懸念する気持ちもわかります。
一方、松茸山を持っている方や、農薬を使ってでも松を残したいという方々もいらしゃいます。
農薬や殺虫剤に対する危険性の尺度が人によってちがうこともあるのかもしれません。
「松が枯れてからいくら農薬をまいたっておそいわ。」という効果を疑う地元の方々も多いです。
みなさんはどう思われますか?
大勢の方々がこの問題をよく理解して、意識していけば対立ではなく、より良い解決策が見つかるかもしれません。
災害が多い昨今、大雨や強風で枯れた松が根元から倒れるということも少なくありません。物件をお探しになる際はそんな点も注目してみてくださいね。
ご拝読ありがとうございます。
それではまた。ごきげんよう。
高力のりこ
投稿者プロフィール
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松本、安曇野地域の現地スタッフです。
日々の暮らし、出逢いを丁寧に。
出逢いを繋ぐお手伝いができれば幸せです。
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