皆さま、こんにちは!八ヶ岳エリア
現地コーディネーターの山田です。
八ヶ岳は梅雨入りを前に、長閑で温かい日が
続いています。私の住む清里地区は、朝夕の気温は
一桁台でまだまだストーブを片付けられない日々、
例年ですとゴールデンウィーク明けには山に郭公の
鳴き声がこだまするのですが、今年はやっと5月の最終週に
なって清里の草原に響き出しました、まるで今までの
遅れを取り戻すかの如く力強く頻繫に鳴く声は、例年とは
全く異なる印象です。
いつもと違う清里の春
今年の春はマイマイガの幼虫が大量発生中です。
昨年、JR中央線長坂駅やJR小海線清里駅の
駅舎壁面にびっしりと貼り付き産卵していた様子が
印象的だったマイマイガですが、産卵後、卵の表面には
メスの鱗毛が塗られ保護れて越冬します。そこで孵化した
幼虫は糸を吐いて風に乗り移動して広範囲に分布していきます。
その様子から別名ブランコ毛虫ともよばれています。八ヶ岳の様な
唐松の多い地帯ではマイマイガの大量発生は深刻で森林害虫として
認識されておりマイマイガは、国際自然保護連合(IUCN)によって
世界の侵略的外来種ワースト100にリストされている程繁殖力の強い蛾です。
気になるのは毒についてですが、1齢幼虫にのみ毒針毛があり触れると
皮膚炎を引き起こします。卵、2齢以降の幼虫、成虫(蛾)には毒は
ないようです。普段あまり毛虫は気にしないのですが、今年チェッカー
ベリーを植えて、翌日見るとベリーは丸禿になっており、このマイマイガに
よる食害だと気が付いたのでした。
マイマイガとは?
気になって調べてみると色々と思い当たる事や自然の不思議を感じる発見が
ありました。マイマイガを漢字で記すと舞舞蛾となります、
英名はジプシーモス成体である蛾は、雄と雌は別の種と
思うほど形状形質が異なり、これを性的二形と云うそうです。
雄の体長2cmから5cmで茶褐色の鱗毛、雌は5cmから10cmを
越える白い鱗毛を纏った個体で、6月から8月に羽化し森の樹々の
合間を舞う様に飛ぶことから「舞舞蛾」命名されたようです。
但し活動するのは雄だけで、雌は殆んど木にじっとしているそうです。
このマイマイガの幼虫が大量発生すると、思いつくほとんどの樹種、
草木に食害を与えて甚大な被害になるそうです。恐ろしいですね!
清里の我が家には色々な野鳥がえさを探してきますが、特に今年は
朝方にけたたましい鳴き声で寝ている家族をおこすのが
椋鳥(ムクドリ)です。例年はあまり見かけないのですが、
今年は頻繁に我が家の庭にやってきます。マイマイガの幼虫は夜行性で
夜間の活動を終えた朝方、葉の裏側や樹皮の間に隠れてしまうので、
この早朝の未明に捕食の為に飛来する事が分かりました。
このマイマイガの天敵は、ムクドリの他、燕、すずめ、
サムライコマユバチ、ウイルスとしてバキュロウイルスなどがあります。
バキュロウイルスとは?
バキュロウイルスは節足動物に感染するウイルスで、近年の研究で
バキュロウイルスが持つEGT遺伝子たった一つでホスト宿主
(この場合マイマイガの幼虫)を洗脳し、日中も活動する様に
仕向け、行動を操り、樹木や草木の高い所に上らせて滞在させ、
他の遺伝子を使って幼虫の身体を溶かしホストの中で繁殖した
ウイルスをまき散らして下に生い茂る葉に付着させそれを
食べた幼虫に感染をおこさせる、恐ろしいウイルスです。
蛾の幼虫に脳があるのかどうかわかりませんが、
このウイルスは、幼虫の脱皮ホルモンを不活性化させることで
ホストを操っているのではないかと云う事です。
何となく我々人類がCOVID-19ウイルスに翻弄されている様を
思い出してウイルスの恐ろしさを改めて実感した次第です。
そういえば、アフリカ中央部コンゴ川流域で度々感染が確認
される「エボラ出血熱」もそうですが、ウイルスに感染すると
嘔吐、出血等、体液による飛沫感染によってウイルスが伝播
して行くわけですが、発熱によって、幻覚を見たり、暴れたり
する事によって、エボラウイルスは致死率80%以上と云う事を
考えると、人間にとって脅威ですが、エボラ出血熱は罹患後から
発症までの期間が極端に短時間で、更にホスト宿主が動けなくなる
劇症に陥りやすい為、アフリカのコンゴ川流域でとどまって
いるそうです。世界的なパンデミックにならずに済んでいる
という事でしょうか。ウイルスの繁殖メカニズムを考えると
COVID-19の様な潜伏期間が長く、現在社会では無症状ホスト
宿主が広げていくタイプのウイルスの方が世界全体へ与える
影響が大きいと感じました。
自然の豊かさが見せる連鎖
八ヶ岳の自然豊かな場所で生活していると、先ほども記述しました
様に、動植物の不思議に出会う事が多々あります。それは動植物に
とってシンプルな目的「生存と種の保存」につきます。
八ヶ岳の山麓に移住して14年になりますが、この大きな自然は、
実はとても繊細で驚く程敏感です。
以前暮らした大泉町での出来事ですが、庭によくリスが来ていました、
ひまわりの種や落花生を置いておくと、こっそりと来て頬袋にいれて
慌てて姿を消すリスを観察していたのですが、ある日姿を見せなくなって
しまい、観察して目星をつけていた住処を確認に行くともぬけの殻でした。
姿を見せなくなった前後にあった環境の変化はたった一つお隣の住人が
犬を飼い始めた事でした。何年か経って、知り合った動物学者にこの話を
すると、当然と云う顔をして似た様なケースを幾つか話してくれました。
これも良く見かけるケースですが、新たに別荘を建築して外構造りに際して
設計者の勧めに従って、何故か芝生を敷き詰めた、芝生は雑草が目立つので
除草剤を撒いて管理すると、その付近に自生していた山野草を見かけなくなった。
九輪草や芍薬などホームセンターで入手した園芸種を庭に植えて、本来の植生に
影響を与えてしまう。我々の楽しみやライフスタイルの在り方によって、
色々な変化を起こしてしまう連鎖、きっと気付かない内に色々な影響を
自然に与えているのかもしれませんね。
折角の自然に浸れる八ヶ岳での生活なので慎重に、大切に暮らしたいです。
長々とお付き合いありがとうございました。
日々美しさと感動を与えてくれる八ヶ岳の自然と共にある生活。
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投稿者プロフィール
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10年前に東京から八ヶ岳に移住してきた、三人娘の父。
山の中のギャラリーを運営中。
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