2018.09.12

「伊豆半島ジオパーク」⑦北伊豆・函南町にある古墳時代の横穴群！不思議な光景です！

こんにちは、静岡担当岩本です。

◆今回は北伊豆エリアのジオパーク

今回で「伊豆半島ジオパーク」シリーズも⑦となりました。今回は「北伊豆」。西伊豆、南伊豆、東伊豆などに比べてあまり聞かないですね。伊豆の北方向、伊豆の付け根にあたる三島、函南地方が北伊豆にあたります。伊豆半島の歴史からおさらいすると、伊豆半島は2000万年前にはるか南の海から火山活動を繰り返しながらフィリピン海プレートの移動によって本州に衝突した60万年前にはじめて伊豆半島の原型ができました。その後も噴火を繰り返してきましたが、この北伊豆エリアも約６万年前の箱根山の大噴火の際、巨大な火砕流が厚く積もったところができました。この時の火砕流は東は鎌倉の方まで流れたそうです。この火砕流でできた丘陵に今回紹介する、横穴群が造られています。

◆函南町の場所はこちら

熱海と三島の中間にあります。伊豆半島の付け根です。すぐ北側が箱根ですので、箱根火山の影響をうけているのがわかります。

◆SFにでてくる基地のような？穴だらけの不思議な光景！！

■どこにあるかというと、

正式名「粕谷横穴群」かしやよこあなぐんは田方郡函南町粕谷公園内にあります。公園の一番奥の台地になっているところにあります。前述の通り、箱根火山が約６万年前に噴火した時の火砕流がつくった台地です。

■「粕谷横穴群」とは？

山の斜面に穴を掘って墓室とした「横穴墓」のことです。静岡県内最大のもので東西600ｍ、南北250ｍの間に300基以上が造られています。一部は国の史跡に指定されています。主に集落の指導者的な人が埋葬されました。

遺跡ですが自由に穴の中へも入ることができます。

■いつできたのか。

できた時期は年表の通りですが、古墳時代になります。

６００年頃(古墳時代)から横穴群が造られはじめ、７００年頃まで造られた。その後、新規での穴は造られず、８００年ぐらい(奈良時代)までその穴に追葬されたらしい。当初は遺骸のまま、納めたようですが次第に(８００年ごろには)火葬されるようになったようです。

■何のために、どのように造ったのか。

この古墳時代は人が死んだ後に行くと考えられていた「黄泉の国」”よみのくに”に行けるように、地位の高い人の為に掘られたようです。

ここの地質は箱根火山の噴火の時の火砕流が軽石を主体にしたものので、穴を掘る加工がしやすかったようです。そのため、この地域にたくさん造られました。壊れやすいため、現在では多くのの穴はコンクリートで保護しています。

■構造は？

遺骸を納める「玄室」と呼ばれる部屋と供養のようなことが行われた「墓前域」玄室と墓前域をつなぐ通路が「羨道部」と呼ばれています。

玄室には遺骸と、あの世での生活に困らないように、衣料品や装飾品、武具、食器などと一緒に埋葬したようです。なんだか現代の棺桶のルーツのようですね。そして羨道部に石を積み上げてふさぎ、現世とあの世を隔絶しました。近親者が亡くなった時はこの石「閉塞石」をいったん取り除き、同じ墓に埋葬します「追葬」。これも現代の墓に繋がりますね。

穴の中の様子・コンクリートで内部も固めています。