ようやく暑さの陰りを感じた先週末、短い秋がすぐそこ 富士五湖地域 鳴沢村在住の案内スタッフなるたかです。梅雨時には晴れ間を待ち望んで、カンカン照り続きには曇り空を待ちわびて、見事に天気に翻弄されたこの一カ月でした。それでも夏のある日に ふっと 気持ちが軽くなった場所をご紹介します。「明見湖」 別名「蓮池」です。
<いざ散策へ>
駐車場から池に目をやると、蓮の花がそこかしこに咲いています。
早速遊歩道を右回りで歩き始めました。数年前に来た時よりも、整備されたところが多く、より身近に蓮を感じられる遊歩道となっていました。
大きい葉の中に朝露が集まり大きな雫に。
これから咲く花、満開の花、種を作り出している花など、いく通りもの表情を見せてくれます。
<生き物もいっぱい>
悠々と泳ぐカモの一家。
野鳥も多いようです。案内の看板には何種類もの野鳥が。
カワセミを狙うカメラマンもたくさんおられて、明るくなるころからスタンバイをしているとのこと。「どうですか、調子は?」と聞くと「撮れたよ😊」満面の笑みでした。なんでも鳴き声がするそうで、カワセミにとまってもらうためのもらう棒も池に立ててありました。
湿地帯なので、蓮池そばの葦の茂みではザリガニ採りをする家族がいたり。
各人各様の楽しみ方をされてるようです。もちろん水面下は泥、落ちれば大変危険・・
<魚もいるけど・・>
釣り人へのメッセージはこちら。「明見湖フィッシングエチケット」が定められています。
また外来魚の放流への警告もありました。河口湖では大手を振って泳いでいるブラックバスやブルーギルなどはここでは歓迎されません。池の生態系に影響が出るからですね。壁にあった「めだかの学校」について新聞記事のパネルでは、ここ明見でも小川が汚れた用水路となり、メダカの姿も消したとのこと。
そこで地元の有志の方達で休耕田を掘り下げ、水を入れ、メダカを放し、見事めだかの「分校」を開いたそうです。きっと現在の蓮池は「めだかの学校の本校」となっているのでしょう。「はじめからそこで暮らしているいる虫や鳥、魚にメダカが食べられるのはしょうがありません。でもいるはずのない外来魚に不自然に食べられるのはいけません、持ち込むのは人間なのだから」そんなメッセージを感じました。
<セドン!!>
生き物つながりでもう一つ。壁に目をやると大きな緑の「明見湖の守護神セドン」が!
地元の小中学生や一般のかたが、粟井英朗環境財団の協力で出来上がった壁画だそうです。
よく見ると・・とんぼ、オタマジャクシ、かえる、カワセミ、魚たちや鳥たち、さくら、蓮などなど。とくにたくさん飛んでいるのはとんぼ。きっと水場の卵がかえり、成虫になったトンボが気持ちよさそうに空をすすんでく、そんな場面が子供たちにとっての明見湖の景色なのかもしれませんね。
生き物の表情はほとんど笑顔でかわいいです。大きい富士山もあればひっそり小さい富士山もあり、やはり身近な存在なのでしょう。
<地域で支える>
この環境財団は壁画をはじめ、遊歩道沿いにあるパネル製作、浮橋など環境整備に助成をされてるようです。その申請などを行っているのが管理団体として平成30年より委託された「NPO法人母さんの楽校」です。その活動目標は「介護保険を使わず、自立した生活を継続していくために自ら趣味や楽しみを見出し活動していく」とのこと。キャンディ作りや地元小学生との田植え、さらには富士山水資源講座という勉強の機会も関係者と協力して行っています。やはり自然資源を残していくためには、協力し、勉強し、守り伝えていくのが大切なんだと感じました。
<咲き乱れるは蓮だけにあらず>
さらに蓮だけでなく、紫陽花も多く植えられており遊歩道を進むと斜面一面に咲いていました。
<富士内八海のひとつ>
最後に富士山登山と明見湖の関係についてです。
今年は登山道は閉鎖され登山者はいませんが、例年なら夜中の登山道にはヘッドライトでできる光の川は、ふもとからもよく見えます。そして頂上からのご来光を見た方は、「見る」から「拝む」、「登山者」から「巡礼者」へと内面的な変化が起きます。富士山はもともと人々にとって信仰の対象としてあり、そこから芸術も生まれ、2013年世界文化遺産に認定されました。
上記の石碑にある絵は、葛飾北斎によって描かれた「富嶽百景 阿須見村の不二」です。巡礼者は富士山へ入る前の水垢離場として富士山周辺の湖や水場(富士八海)にて体を清めていました。
いまではその習慣を行う人はほぼいませんが、雄大な富士山を目にしながら明見湖を散策すると自然と心が清められ、癒されてるのかもしれません。
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