こんにちは!富士五湖現地スタッフの富士まりもんです。
今から70年以上も前に発刊されたアルベール・カミュの「ペスト」が世界中で読まれていると聞きます。カミュといえば不条理文学の作家として有名ですが、このウィルス禍であらためて注目が集まっているようです。
私も若い頃に読んだきり、あらすじすら忘れていましたが、今でもおぼろげに残っているのは不条理への「反抗」と人々の「連帯」という印象です。
ペストで封鎖された都市の中で、災厄のように降りかかる伝染病に人々が対していく姿が描かれています。混沌や恐怖や苦痛、悲劇の様相、現在の世界と酷似しているからこそ多くの人がこの本を手に取るのかもしれません。
私も今一度読み返してみたいと思います。
そして、こうした緊急事態や非常事態の時でも、季節は変わり春が来て花が咲きます。自然の営みは人の世とは異なり、太古の昔から連綿と続く時の流れと共にあります。
咲く花は人の心に寄り添って(と勝手に人間が思っているだけですが)、私たちの心を慰めてくれます。
今回は山梨東部にある大月市周辺の春の様子をご紹介いたします。
日本三大奇矯「猿橋」
歌川広重の「甲陽猿橋之図」や十返舎一九の「諸国道中金之草鞋」などに描かれた「甲斐の猿橋」は、「岩国の錦帯橋」・「木曽の棧(かけはし)」と並ぶ日本三奇橋のひとつに数えられています。
長さ31メートル、幅3.3メートルのそれほど大きくない木橋です。掛かっている場所が高さ31メートルと高所にあり、谷が深く橋脚がたてられないため、橋脚を使わずに両岸から張り出した四層の「はね木」によって橋を支えてるという珍しい構造の橋です。
はね木には屋根がついて雨からの侵食を防いでいます。
大月市HPを見ると、猿橋がかけられた時期については、600年頃に百済の工人が、猿がお互いの体を支え合って繋がり、断崖を渡る姿に着想を得たという伝説があります。
その後、文明19年(1478年)、聖護院門跡道興がこの地を訪れ、「猿橋とて、川の底千尋に及び侍る上に、三十余丈の橋を渡して侍りけり。此の橋に種々の説あり。昔猿の渡しけるなど里人の申し侍りき。さる事ありけるにや。信用し難し。此の橋の朽損の時は、いづれに国中の猿飼ども集りて、勧進などして渡し侍るとなむ。然あらば其の由緒も侍ることあり。所から奇妙なる境地なり。」と廻国雑記に記しています。
修験道のお坊さんが訪れた際この橋を見て、この伝説は信じがたいなどどのたまわっています(笑)。
駐車場から猿橋のたもとまでは歩いてすぐでした。
お天気が良くコントラストが強いため、写真を明るくしてはね木部分が見やすいように加工してみましたが、やはり影の部分はあまりよく見えませんね。
はね木がよく見えるように、橋のたもとの一段低い場所に、橋の展望台が作られています。ここからはしっかりと橋の構造を観察することができ、その不思議さと美しさを堪能できます。
普段なら観光客で賑わっているであろう場所ですが、独り占めで観察できました。
橋のたもとには看板と休憩ベンチなどがあり、ちょっとした広場になっています。
お蕎麦屋さんもありましたが、お昼近い時間にも関わらず観光客はまばらでした。
ちょうど中学の入学式だったのか、式を終えた新中学生が親と一緒に記念撮影したりしている場面に出会い、少しホッとした気分になりました。
実際に猿橋を歩いて渡ってみました。
人がすれ違うには十分な広さの木橋です。こうして見ると、やや太鼓型になっているんですね。構造的にも説明がつきます。
橋の下を覗くと深い淵がエメラルドグリーンの色をたたえていました。
例年4月~11月の期間は、この桂川をボートで下る「猿橋遊覧」が体験できるそうです。遊歩道や橋の上から見る景色と異なり、川を下りながら猿橋を見上げたり、渓谷の自然美を楽しめます。
猿橋から東の方を見た風景です。
手前は八ツ沢発電所一号水路橋で、奥の赤い橋脚が見える橋は国道20号です。
水路橋は年代物らしく、レンガのトンネル外観とかレトロな雰囲気・・・。
調べてみたら、1912年に作られ、2005年に国の重要文化財指定を受けていました!
八ツ沢発電所施設は、日本では最初期の大規模調整池を有する本格的水力発電所施設とのこと。類型の異なる複数の構造物に高度な建設技術が駆使され、土木技術史上高い価値があるそうです。国の重要文化財の中でも最大規模で、水路橋自体は1号から4号まであるようです。
猿橋の全容を隣の新猿橋から撮影。
ちょうど奥の水路橋と重なってしまい、ちょっと形が明瞭ではないです。
猿橋から隣の新猿橋を見たところ。
この先、川幅は急に広がり、視界が開けていきます。
視界が開けた風景です。川の左側土手は公園になっていて桜が咲いていました。
ちょっと立ち寄ってみましょう。
猿橋から川沿いを公園へ向かう遊歩道です。この沿道には約3000株の紫陽花が植えられ、花の時期はアジサイロードになり、紫陽花祭りも開かれます。
今日は快晴で、新緑も始まり清々しい雰囲気です。
左側は断崖絶壁なのですが、途中崖の上になんと家々が立ち並んでいるのが見えます。中には崖から半分くらい乗り出している基礎の建物もありました(驚)。
道すがら山吹の花の黄色が咲き乱れていました。
春はやはり元気の出てくるこの黄色が映えますね。世界を明るくしてくれます!
すみれも春の代名詞。
ニリンソウの小さな群落もありました。清楚な花がかわいいですね。
公園の桜は満開をやや過ぎた頃で、桜吹雪もみられます。
ソメイヨシノよりも開花の遅い八重桜が咲き始めていました。
奥が猿橋方面です。ご覧のように急に溪谷地形になっています。
桂川ウェルネスパークへ
猿橋から車で約5分のところにある桂川ウェルネスパークに来ました。
この公園は大月市を見渡す丘の上にあり、里山の自然を生かした西、中央、東の3 ゾーンから成り、農業や自然体験からアスレチック施設、ドッグラン、バーベキュー施設などがあります。
ここにあるレストランでうどんを食べようと、初めて立ち寄りました。
いつもながら食べる方に気がはやり、うどんの写真を撮るのを忘れたのでありませんが、吉田のうどんほど太くはないですが、歯応えがありおいしかったです。
園内には家族連れがちらほら。遊具もあるので子供連れが目立ちます。
レジャーシートを広げお花見ランチをしている家族も見られました。
中央ゾーンから東ゾーンへ向かう途中、菜園のような物が見えました。
ここは農業見本園といい、菜の花が咲いているのは野沢菜のようです。他はまだ何も芽が出ていませんが、こんな眺めの良い場所で畑を耕したり収穫したりするのは、さぞ楽しいだろうと思います。
見本園の脇には里山体験棟という古民家がありました。里山や農業体験のベースとなる建物です。あーこんなお家でのんびり暮らしたいですね!
果樹の木も植えられていました。これはりんごかな?
オキナグサの花が生毛をキラキラ光らせて咲いています。
この花を見ると宮沢賢治を思い出します。
中央ゾーンと東ゾーンをつなぐ吊り橋です。
全長122メートル、沢から橋までの高さは36メートルあります。うーん、さっきの猿橋よりちょっと高いですね。
東ゾーンに入りました。
気持ちの良い芝生広場の先に小高い山が見えます。
小高い山を登っていくと、バーベキュー施設のある広場になっていました。
桜の花が咲いていて、周囲の山々が見渡せる絶好のピクニック広場でした。
以上、富士まりもんでした。
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