前代未聞の詐欺事件！

おじいさんは、助けたらきっとまた
恩返しをしてくれると思い、
そのツルを前とおんなじように
助けてあげましたとさ　

その夜おじいさんは、そのことを
またもやおばあさんに話してあげたそうな

するとおばあさんはたいそう喜んで
おじいさんにこう言いました

『おじいさん、今度ツルが恩返しにきたら
絶対にのぞかないようにしましょうね！

そしたらきっと前よりも
たくさんの布を織ってくれますよ！ 』

おじいさんとおばあさんが
ワクワクしてまっていると、
「コン、コン」と戸を叩く音がします

おばあさんが戸をあけるとそこには
案の定、一人の若い娘が立っていました

そして前とおなじように
「道に迷ったので泊めてほしい」、
と言うので喜んで泊めてあげました

おじいさんとおばあさんは布のため
娘にたいそうおいしい料理をふるまったそうな

その後、たらふく食べた娘は前と同じように

『布を織るのでサー♪楽しみに待っててギー♪
だけどのぞいたらお仕置きだからね！』

と言って奥の部屋にさっさと入ってしまいました

　……………………

一日、二日、一週間、二週間が過ぎていきました
しかしいっこうに娘は部屋から出てきません 

おばあさんはあれほどおじいさんに
我慢するようにいったにもかかわらず
とうとうその夜、我慢出来ないで
娘の部屋をまたもやのぞいてしまいました

　………………………………

不思議な事にそこには娘の姿はもちろん、
ツルの姿すらありませんでした

しかも部屋は荒らされており、
金目のものは一切なくなっておりました

おまけに窓はあけっぱなし…
どうやら窓から去っていったようです

おじいさんとおばあさんは
ボーゼンとしてしまいました

しばらくしておじいさんは
「ハッ」としておばあさんに言いましたとさ

『助けたと思った「ツル」はほんとうは「サギ」だったんだ……』

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