重要事項説明書で必ず確認すべき8つのポイント

不動産売却のトラブル

不動産を売却する際に、買い主との間で売買契約を結ぶ必要がありますが、その契約の前に仲介業者などから重要事項説明書の説明、交付がなされ、買い主と売り主がそれぞれ記名押印する手続きがあります。

実務的には契約と同日に行う場合が多く、宅地建物取引業法という法律で宅地建物取引士によって行うことが義務となっています。

 

重要事項説明書と聞くと、何か小難しくて活字が頭に入らないから、とりあえず儀式的な感覚で流してしまうということがよくあります。

 

買い主側は、後で聞いてないという事態を避けるために、しっかり聞いておかないといけませんが、売り主側もその内容に間違いないかを聞いておく必要があります。

 

重要事項説明書の内容は、その名の通り重要な事項が載っているので、買い主側に誤解を与えないよう、売り主側は間違いがないかをしっかり確認しておきましょう。

 

重要事項説明書の内容としては、大まかな構成として、6つに分けることができます。

 

  1. 取引範囲
  2. 権利関係
  3. 法令上の制限
  4. 管理関係
  5. 取引条件
  6. その他重要事項

 

それぞれの構成内では間違いがないか確認していきながら進めていくべき8つポイントがあり、もし事実と違っている部分があれば、買い主に誤解が生じてトラブルになりますから、間違いがあれば遠慮なく指摘すべきです。

 

そのポイントは

 

  1. 不動産の情報は正しいか
  2. 売り主は正当な権利を持っているか
  3. 抵当権などは設定されていないか
  4. 用途地域の区別はどうなっているか
  5. 防災関連で問題はない物件か
  6. 建物状況調査(インスペクション)は行っているか
  7. 契約解除の条件はどうなっているか
  8. お互いに誤解が生じていないか

 

となっています。

 

重要事項説明書はそれなりにボリュームがあり、どれも重要な項目となっていますが、最低限確認しておくべきポイントとして上記の8つを挙げています。

 

ここでは一戸建ての売買を想定して重要事項説明書の内容について8つのポイントを見ていきましょう。

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【1】不動産の表示

不動産の表示については、土地、建物の項目に分かれます。

 

土地部分の測量図については、正確性の高いものから

 

1.確定測量図

2.現況測量図

3.地積測量図

 

となっており、測量が最新のものであるほど確実性が高いです。

 

ここでの注意点は、登記簿上での面積と、実測面積が異なっている場合があります。

 

その場合、なぜ異なっているのかをある程度説明できるようにしておくべきでしょう。

 

また、建物の項目については床面積や構造について書かれています。

 

ポイントとして、床面積は何㎡か、また、その根拠として何の資料に基づいているのかを確認していきます。

 

ここでも床面積に間違いがあるケースがあり、資料の信用度としては

check!

  1. 評価証明書
  2. 建物図面(家屋測量図)
  3. 登記事項証明書

となっています。

もし、実際の物件の平米数と比べて違和感があれば、そこも指摘しましょう。

 

 

【2】売り主の表示

この項目では、売り主の住所、氏名、登記上の所有者と売り主が一致しているかなどを確認します。

登記上の所有者と売り主が違っている場合は、所有者であることを証明する書類を準備しておき、買い主に対してなぜ相違があるのかの理由をしっかり説明できるようにしておきましょう。

 

 

【3】対象となる宅地または建物に直接関係する事項

ここは権利関係の部分で、重要な項目となります。

 

土地と建物の名義人は誰か、また、差し押さえ登記や抵当権は設定されているのかを確認できます。

 

もし差し押さえがされている場合、売却するには差押人の同意が必要になります。

 

また、抵当権が設定されている場合には、抵当権を抹消できないと所有権の移転ができないため、売り主側の資金で抹消できるのかどうかが重要になってきます。

 

買い主側にとってはかなり気になる部分ですので、売り主として抵当権は責任をもって抹消しておき、差し押さえもない状態にしておくのがベストでしょう。

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【4】都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要

区域区分

 

都市計画区域というものがあり、ここでのポイントは市街化区域か、それとも市街化調整区域かが重要です。

 

特に土地だけを売買する場合、そこが市街化調整区域であると建物を建てるのに条件があり、許可が必要といった不具合が発生します。

 

市街化区域と、市街化調整区域の違いがよく分からないまま購入し、結局活用がまったくできずに不良債権化しているケースは意外と多いため、売り主側としても、後々のトラブルを避けるために内容を把握しておきましょう。

 

 

用途地域

 

ここでは細かい説明は省きますが、用途地域はその地域の周辺環境、例えば住宅街なのか商業地なのかといったものになります。

 

もし売却したい物件が商業地域や工業地域であれば、今後周囲に高い建物や人の多く出入りする商業施設ができる可能性があるため、将来的にどんなことが起きうるかがイメージできます。

 

 

建ぺい率、容積率の制限

 

建物の規模に関する項目となっています。

 

ここでの注意点としては、今後新築や再建築をする際に、どんな建物が建てられるのかを知ることができます。

 

売り主側としては、その制限によって現状の建物の現況を説明できると親切でしょう。

 

 

敷地と道路との関係による制限

 

売買目的の物件が、敷地と道路が接しているかを示す内容です。

 

買い主が購入後に再建築しようとする場合、敷地が道路に2m以上接しているか、道路が4m未満の場合は4mを確保するために敷地が削られる可能性があるのかなどに注意する必要があります。

 

また、分筆などによって公道と接してない物件も意外とありますが、その場合は再建築そのものができないため、注意すべき点となります。

 

 

 

 

【5】防災地域や警戒区域か否か

この項目で見るべきポイントは、災害時に警戒すべき区域かどうかの確認です。

 

まず、造成宅地防災区域内かどうか、土砂災害警戒区域かどうか、水害・津波災害区域かを見るのが重要です。

 

近年は災害で宅地が被害を受けるニュースがよく流れており、下手をすると命まで危うい状況になります。

 

売買物件が存在する市区町村でのハザードマップはどうなっているのかも確認しておくと良いでしょう。

 

 

【6】建物状況調査の結果の概要

これは建物状況調査(インスペクション)を実施しているかどうかの確認項目です。

 

建物状況調査がどんなものかは別途記事にしてありますが、私は実施することを推奨しています。

 

実施した場合には、その資料を添付することになりますが、ポイントは、もし実施して欠陥があることが判明している場合、その補修に費用がどれくらいかかってくるかということです。

 

もし軽微な金額であれば、買い主側の負担も納得してもらえるかもしれませんが、かなり大きな欠陥がある場合には、売買金額などを含めて再考していく可能性が出てくるでしょう。

 

 

【7】契約解除に関する事項

ここでは、売買契約の解除に関する項目となっており、買い主、売り主ともに重要な部分となっています。

 

どのような契約解除条件があるのかが記載されており、主に手付解除や契約不適合による解除条件の項目があります。

 

トラブルとなった際に見なければいけない項目となるため、契約解除条件については、この重要事項説明書の読み合わせの段階で相違がないようにしておきましょう。

 

 

【8】その他の事項

添付書類や、その他の重要な事項について記載されています。

 

添付書類については、再発行の効かない書類もあるので、保管に気を付けなければなりません。

 

その他の重要事項は、特約や容認事項があり、買い主と売り主の間で互いに勘違いが生じていないかを確認していきます。

 

また、重要事項説明書の説明をする宅建業者が言いづらいことがあると、簡単な説明をして流してしまうこともありますので、重要な部分はしっかり聞き逃さず、不明点があれば確認するという姿勢が大事です。

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重要事項説明書で必ず確認すべき8つのポイント

重要事項説明書は、不動産の売買契約の前段階において、買い主と売り主の間で最終的な確認となる大事な場面となります。

 

この目的は、売買契約によって不測の事態や不利益を双方が被らないかといったものが含まれます。

 

重要事項説明書は小難しいイメージがあるため、儀式的な感覚で流してしまう人も多いですが、後々のトラブルとならないように8つのポイントに絞って、その部分を集中的に確認していくことがお勧めです。

 

ポイントを簡単に述べていくと、

 

  1. 不動産の情報は正しいか
  2. 売り主は正当な権利を持っているか
  3. 抵当権などは設定されていないか
  4. 用途地域の区別はどうなっているか
  5. 防災関連で問題はない物件か
  6. 建物状況調査(インスペクション)は行っているか
  7. 契約解除の条件はどうなっているか
  8. お互いに誤解が生じていないか

 

となっています。

 

重要事項説明書の読み合わせが終わった後は、売買契約の手続きに進むことが大半ですが、もし間違いや疑問があったときはすぐに指摘して再考したほうが良いです。

 

契約日が遅れることよりも、買い主と売り主の間で誤解が生じているほうが恐ろしいことです。

 

ですから、言いづらいことがあったとしても、遠慮することなくお互いに相談して解消してから売買契約に臨みましょう。

 

 

この記事の著者

行政書士:長尾 文弘
行政書士:長尾 文弘
建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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