不動産の売却時に作成する物件周辺状況等報告書とは?

不動産売却の相談・方法

不動産の売却をするために仲介業者と媒介契約を交わした後、売却予定の物件について業者から渡される物件周辺状況等報告書という書類に記入しなければなりません。

 

また、これは告知書とも呼ばれ、書類の内容については名前のとおり売却予定物件の状況に関して記入していきます。

 

 

見込み客に対して物件の案内もすることになりますが、買い主側としては短時間に1回見ただけではその物件を細部まで把握することはできませんから、物件のことをよく知っている売り主が、建物や周辺状況について書面で告知しておかなければなりません。

 

これらの書類は売買契約時の状況を書くものですが、買い主側としては物件の情報を早く知りたいため、媒介契約後に速やかに記入し、売買契約までに変更があれば修正していく流れをイメージしていくと良いでしょう。

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物件周辺状況等報告書には具体的に何を書く?

物件周辺状況等報告書は、基本的に媒介契約を結んだ仲介業者が用意してくれます。

 

 

物件情報状況等報告書は、主に大きく分けて次のようになります。

 

  • 物件の現況について
  • 物件の過去の履歴
  • 周辺事情
  • 物件に関する書類

 

 

物件の現況について

記入すべき内容としては、例えば雨漏りやシロアリ被害はないか。

地盤沈下や建物は傾いていないか、排水管やガス管の状態に問題はないか。また、境界線で隣人と揉めていないかなど、現在の建物等の状況について調査すれば比較的把握しやすいものとなっています。

初期の段階では、売り主の目の届いている範囲での内容になりますが、売買契約時までに状況が変わることもありますので、契約が終わるまでは気にかけておいたほうが良い項目です。

 

買い主側が候補の物件を見て最初に気になる項目が多いため、基本的にすべての項目を埋めておきましょう。

 

 

物件の過去の履歴

過去の履歴に関する情報としては、リフォームや増改築を行ったか、今まで火災や地震などの被害があったかなど、ほとんど売り主しか知らない情報ばかりです。

 

買い主も仲介業者も知らない情報であり、また買い主側としても非常に気になるところです。

できる限り思い出して記入しておきましょう。

 

 

周辺状況

周辺状況は、近隣の建築計画や、町内の決め事、騒音の問題など、住んでみないと分からない部分も多く含まれています。

 

買い主は、その物件を購入することでどんな生活を手に入れたいのかを考えているため、実際に住んでみたら理想通りにいかないケースを恐れています。

 

もちろん、想像していたものと比べて多少の誤差はありますが、許容できない範囲であった場合、売り主とトラブルになる可能性もあります。

 

不動産は金額も大きく、失敗した場合でも代えがきかない売買であるということを再認識しておきましょう。

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物件に関する書類

この項目では、売却予定の物件に情報に関する書類がどれぐらい準備してあるかを記入していきます。

もちろん書類は多ければ多いほど買い主も仲介業者も助かります。

 

ではどのような書類があるかを挙げていきますと

 

 

新築時の設計図書、測量図等の資料

売却予定の物件を新築として購入していた場合に保管している可能性があります。

これらの書類があると、建物の構造をすぐに把握できることはもちろんですが、表面的には見えない部分の構造も見ることができます。

 

また、資料を買い主に引き渡すかどうかを決めることになりますが、基本的には資料は引き渡すようにしましょう。

 

増改築やリフォームに関する資料

増改築やリフォームを行ったことがある場合の資料です。

リフォームを行った場合、特に高額になる水回り部分を行っているかは、買い主も非常に気にするところです。

もし、築が古く、水回りがリフォームされていない場合には、買い主は購入資金のほかにリフォーム資金を多めに用意しなければいけないため、行っているか行っていないかを証明するためにも必ず資料は用意しておきましょう。

 

建物の石綿使用の調査の有無の資料

いわゆるアスベストを使用していないかどうかを調査したかの資料です。

これは重要事項説明書の記載事項の一つともなっているため、それを証明するものとして書類の有無を確認します。

 

また、アスベストは耐久性や耐熱性に優れ、かつ安価で手に入るため多方面で使用されてきましたが、微量の繊維が飛散して人間が吸いこんでいくと肺がんを引き起こすことが指摘されたため、現在では禁止されているものです。

 

生活するための空間で健康を害してしまうのはあってはならないことですから、もしまだ調査を行っていなければ、必ず行っておきましょう。

 

建物の耐震診断結果の有無の資料

耐震診断を行っているか、また行っている場合はその資料があるかどうかの内容です。

 

耐震診断は自治体によって、ある程度の規模の建物は義務付けられていることもありますが、基本的には戸建て程度の規模であれば義務ではなく、行っていない建物もたくさんあります。

 

もし築年数が古い場合は、現在の耐震基準に適合していない可能性がありますので、行ったほうが良いです。

 

近年は東日本大震災のような災害が起きて、防災に関する意識の高い人も増えてきたため、耐震診断を行っているかどうか気にする人も増えてきました。

 

買い主側が購入後に行うケースもありますが、やはり売却予定の物件なのに耐震診断を行っていないような売り主から購入することをためらう人もなかにはいます。

 

そうなると売却機会を少なくしてしまいますから、売り主側はしっかりと商品を売るという感覚をもって、耐震診断も行っておきたいところですよね。

 

 

住宅性能評価に関する資料

国が定めた基準による住宅性能表示制度というものがあり、専門の機関が住宅を評価することによって数値化した書類で、住宅性能評価書といいます。

 

住宅性能評価は大きく分けて「維持管理や更新への配慮に関する項目」「劣化の軽減に関する項目」「構造に関する項目」「温熱環境やエネルギー消費量に関する項目」の4つに大別されて評価され、その建物の全体的な評価を得ることができます。

 

もちろん評価が高いほど売却の成功に結び付きやすいため、売却に向けて耐震診断などをしっかり行ってきたという場合については住宅性能評価も行っておくとプラスになります。

 

 

今回の売却にあたって行った建物検査の報告書

建物状況調査というもので、売却予定の物件について専門家が細かく診断し、欠陥があるかないか、あればどのようなものかを具体的に診断した結果になります。

 

これもあるかないかで、売却が成功するかどうかの決め手にもなりますので、事前に売り主側がやっておくことをお勧めします。

 

 

前の所有者から引き継いだ資料

もし、今回売却する物件を中古として購入している場合は、前の所有者から引き渡しを受けた書類があればそれを用意します。

 

不動産の売買に伴って交わされる書類はかなり多く煩雑ですが、売却する際にも必要となる場合が多いため、どんなものでも必ず保管しておき、なくさないようにしましょう。

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物件周辺状況等報告書のまとめ

物件周辺状況等報告書は、基本的に仲介業者との間で媒介契約を結んだあとに作成すべき書類で、フォーマットは仲介業者が用意してくれます。

この物件周辺状況等報告書のまとめると、

check!

  • 土地と建物についての情報のほか、周辺状況についても買い主に知らせる目的があること
  • 記入するにあたって、知っている範囲のことは隠さずにすべて記入しておくこと。
  • 書類内容に関する資料を早めに用意しておくこと。

ということになります。

 

特に記入にあたっては、この書類で伝えた内容は、買い主と事前に了承を得ることで瑕疵担保責任から外れることもあります。

 

また、買い主はその物件について短時間しか見ることが出来ませんから、物件の過去の履歴や、近隣に関する情報、町内のルールなどがあれば、のちのちのトラブルを防ぐためにも必ず伝えておくべきでしょう。

 

不動産の売却では多額の金銭が動くことになり、その分だけ大きな責任が伴いますから、見栄を張らずにマイナス部分も正確に伝える必要があります。

 

不動産を売却することについて動き出したら、まずこの物件周辺状況等報告書は手を抜かずにしっかりと記入して、取引を成功させましょう。

 

この記事の著者

行政書士:長尾 文弘
行政書士:長尾 文弘
建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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