不動産を売却しようと考えている場合、様々な事情から自分では立ち会うことができないケースが多々あります。
その場合には、あなたの代わりに代理人を立てて、買い主との売買契約を締結することができます。
ただ、不動産の取引は高額であり、本人が責任をもって買い主と売買契約を結ぶのが原則ですから、本来よりもかなり慎重に進めなければならないでしょう。
買い主側としても、高額な買い物をするわけですから、重要な契約の場に本人ではなく代理人が来るというのは不信感を持ちやすく、売り主側としては不信感を取り除くために必要なことを徹底的に準備しておく必要があります。
今回は、どうしても代理人が売買契約を行わなければならない場合に必要なものと、注意点についての説明をしていきます。
目次
代理人を選ぶ理由は?
本来は不動産の取引は重要な契約となりますから、本人が行うことが原則です。
しかし、やむを得ない事情で代理人に依頼しなければならないケースもあるでしょう。
売却する不動産が共有名義になっている場合
例えば不動産が分割できないため、持分を平等にして相続した場合や、収益物件を共同で購入した場合などがあります。
もし共有名義の不動産を売却しようと思ったら、本来は共有者全員が契約の場に立ち会うことが一番良いです。
しかし、それぞれの都合が合わなくて立ち会えないこともあるため、その場合は代表者が共有者全員の承諾を得て、代理人として契約を行うことができます。
ただ、共有名義の物件を代理する場合ではとても注意すべき点が多くなります。
ひとつは、共有者の関係が円滑かどうかです。
売買契約から手続き、意向に至るまで、共有者同士の関係が円滑でない場合にはかなり難航し、そのようなケースは山ほどあります。
また、共有者が少数であれば良いのですが、人数が多ければ多いほど、それぞれの利害関係、思惑が交錯してきますから、複雑になってきます。
ですから、代表者となる場合には他の共有者全員から信頼を得ている人が適任といえます。
もし、どうしても周囲に代理人としてふさわしい人物がいない場合には、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するという選択も視野に入れておきましょう。
その場合であっても、事前に共有者全員の意向などをすり合わせて、後々のトラブルに繋がらないよう慎重に進めていきましょう。
売却物件が遠い場所にある場合
この場合も、代理人に依頼しなければいけないことがあります。
例えば売却する不動産が日本国内にあるが、海外に在住しているといった場合でも、代理人に依頼することが可能です。
自分で売買契約を行うことが不安な場合
不動産の売買は高額な取引が伴う法律行為であり、緊張して正常な判断が出来なくなる人が稀にいます。
その場合、法律に詳しい人に依頼したいというニーズも少なからずあるため、代理人を立てることがあります。
しかし、このようなケースでも売買についてどのような意向があるのか等のすり合わせは徹底して行っておく必要があります。
代理人には2種類ある?
代理人には、法定代理人と任意代理人の2種類があります。
それぞれの違いは次のようになっています。
法定代理人
法律の規定によって代理権が与えられるものを法定代理人といいます。
例えばどういうものが法定代理人になるかというと、未成年者後見人や、成年後見人がこれにあたります。
つまり、未成年者が所有している不動産を売却しようとする場合には、未成年者は単独での法律行為ができないため、通常は親権者が代理することになります。
成年後見人については、任意後見と法定後見がありますが、どちらも認知症や障害などによって十分な判断ができない場合に、正常な人が代理する制度になっています。
任意代理人
上記の法定代理人以外の代理人を選ぶ場合には、この任意代理人が当てはまります。
任意代理人は、不動産を売却したい本人が選ぶことができるため、信頼できる人物であることが一つの要素となります。
そして契約では、本人の意向を細部まで慎重に遂行することと、権限を超える判断を迫られる場面が多くありますから、事前の打ち合わせが非常に重要となってきます。
代理人が契約した場合でも、本人が契約した場合と同じで、簡単に破棄できなくなりますから、トラブルを避けるためにも任意代理人を選ぶ際には慎重になりましょう。
代理人に依頼する場合に用意する書類は?
不動産の売却を代理人によって行う場合は、本当に本人の代理人であるのかを買い主に信頼してもらう必要があります。
そのために証明書類として次のものを用意します。
check!
- 委任状
- 本人、代理人の実印
- 本人、代理人の印鑑証明書
- 本人の住民票
- 代理人の身分証明書
買い主側にとっては、契約の場に本人ではなく代理人が来るというだけで警戒心が湧いていますから、間違いなく委任者の意向を遂行してくれる代理人であるという証明が必要です。
また、買い主から付帯設備表などを用いて相談を受ける場合もあります。
ですから、書類を用意したから準備は完璧だとは思わずに、できればその場ですぐに委任者本人と連絡が取れるようにしておくなど、事前に詳細を打ち合わせておきましょう。
委任状に記載する内容は?
委任状に記載する最低限の内容は以下の通りです。
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- 契約日
- 委任者の住所、氏名
- 受任者の住所、氏名
- 取引内容
- 取引日時
- 委任権限の範囲
- 売買の目的となる不動産の情報
- 委任者・受任者の記名・実印による押印
委任状を初めて書く人も多いので、いくつか説明しておきますが、書式に関しては特に決まったものはありません。
上記の内容が含まれていれば構いませんが、買い主に見せるものなので、見やすいレイアウトで作成しましょう。
また、上記の内容で特に留意すべきなのは「委任権限の範囲」の項目です。
ここに記載された範囲外のものは権限がありませんから無効となります。
そして、書類に記載したからといって安心せずに、口頭においても、委任者である本人の意思を正確に伝え、代理人として受任した権限の範囲内を明確にしておく必要があります。
本来、不動産の取引は本人同士でもトラブルが起きやすく、細心の注意が必要ですので、代理人が行うとなればより慎重になるべきです。
まずは委任者と受任者の間に、意向に関してわずかなズレもないようにすり合わせ、予想される質問に対する答えを用意し、権限を超えるような判断が必要となった場合にはすぐ委任者と連絡を取ってから回答するようにしましょう。
不動産を売却のために代理人が契約を結ぶ場合、必要なものと注意すべきことのまとめ
不動産の売買においては本人同士が契約の場に立ちあうのが原則中の原則ではありますが、やむを得ない事情が発生する場合があります。
そのようなケースでは、不動産の売買契約を代理人に依頼することが可能となっています。
ただ、その場合には、まず買い主に対して代理人が契約の場に出席する旨を必ず伝えておきましょう。
当日いきなり本人ではない見知らぬ人が来たら不信感を持たれるからです。
そして、書類に関してはその代理人は委任者が正当に依頼したことを証明するために委任状のほか、印鑑証明、委任者の住民票、代理人の身分証明書などを必ず用意します。
それらの書類を用意したからといって安心せずに、必ず口頭においても、代理人は買い主に対して、委任者の意向と受任した権限の範囲を明確に説明しましょう。
また、契約の場では事前に打ち合わせた回答以外にも買い主から権限を超えた相談をされることが多くありますから、そのような場合に代理人は勝手な判断で回答せず、委任者と受任者の間で連絡が取れる状態にしておき、必ず確認を取れるようにしてください。
これまで述べたように、不動産の売却に関して代理人に依頼する場合、
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- 代理人が来ることに対する買い主側の不信感
- 委任者と受任者間の意向のズレ
の2点が非常にトラブルになりやすい部分です。
ですから、どうしても代理人に依頼しなければならない場合には、それなりのリスクが伴うことと、そのリスクに対してかなり慎重にならばければいけないということは知っておくべきでしょう。
これらを踏まえてうえで、ぜひ最後までスムーズな取引ができると良いですね。
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この記事の著者
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資格:宅地建物取引士
不動産会社に10年を超えて在籍し、Webの業務をこなしながら宅建の資格を取得。勤務中に色々なお客様の悩みや喜びの気持ちに接して来た経験を活かして、不動産売却(別荘売却)に少しでもお力になれるよう協力します。
売却するということは、お客様の目に留まる集客サイトが必要です。
このサイトに物件を掲載することが売却への早道になるよう努力し続けます。
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