不動産の売却で売り主にかかる諸費用や税金は?

不動産売却に必要な費用・税金

不動産の売却には、様々な諸経費や、税金がかかります。

もし不動産の売却を考えている場合、売却にはどんな費用がかかってくるのかを知らない人も多く、特に今まで不動産の売却を経験していない人の中には、査定の金額がそのまま手元に入り、その金額をもとに皮算用している人も多いです。

不動産はその価格自体が高額であり、それにかかる諸費用も考えているよりもかなり高くなる可能性が大きいですし、売却後に新しい不動産の購入を考えているケースであれば、高額の諸費用は無視できないほど大きいです。

ですから、今回は不動産の売却を考えている場合に、その諸費用や税金はどれくらいかかるのかを解説していきます。

不動産売却にかかる費用としては、状況に応じて次の

不動産売却にかかる費用

  1. 仲介手数料
  2. 印紙代
  3. 登記費用
  4. 譲渡税
  5. 測量費
  6. 建物状況調査費(インスペクション)
  7. 売却予定の物件に住んでいる場合は引越し費用

が、かかってきます。

あくまでも状況に応じてかかってくるものですが、仲介手数料や印紙代はほぼ必ずかかるものですし、それ以外にも売却に際して必要な書類を紛失していたせいで余計な費用がかかったり、売却予定の不動産の状態によっても費用がかさんでくることでしょう。

しかし、どんな状態のときにいくらぐらいかかるのかをあらかじめ把握していれば、売買自体もスムーズに行えます。

まずは買い主に納得して購入してもらわなければなりませんから、それも踏まえたうえでそれぞれどんなものなんかを見ていきましょう。

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仲介手数料

まず大きな費用としてかかってくるのが、この仲介手数料です。

これは不動産を売却するにあたって、媒介を依頼した仲介業者に支払う手数料のことです。

宅建業法で定められている仲介手数料の計算方法については別の記事でご紹介させていただきましたが、この金額が占めるウエイトは非常に大きい金額となります。

 

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しかし、不動産の売却にかかってくる手間や労力、費用を考えると必然の金額といえるでしょう。

この仲介手数料は売却金額に応じて金額が変わるため、実際に売却価格がまとまった段階で

仲介手数料の速算式(売却金額×3%+6万円)×1.1

の速算式を用いて、できれば手数料がどれくらいになるのかを計算しておきましょう。

 

印紙代

印紙代は、不動産売買契約書に貼付する印紙に対する費用です。

この印紙代は、様々な契約内容でも必要になることがありますが、不動産売買では高額の取引となるため、その内容によって印紙代も高くなりがちです。

ただ、不動産の譲渡についての印紙税は、平成26年4月1日~令和4年3月31日まで軽減措置が設けられており、それ以外の譲渡契約よりはお得になっています。

印紙代の一覧

契約金額 軽減措置後の印紙税
100万円を超え、500万円以下 1千円
500万円を超え、1千万円以下 5千円
1千万円を超え、5千万円以下 1万円
5千万を超え、1億円以下 3万円
1億円を超え、5億円以下 6万円
5億円を超え、10億円以下 16万円

 

もし印紙を貼り忘れた場合は?

印紙代を貼り忘れた場合、ペナルティーとして過怠税が課せられてしまい、金額は本来納付すべき金額の2倍になります。

本来の印紙代にプラスして過怠税が課せられてしまうため、例えば3千万円の取引であった場合、印紙代は1万円ですから、過怠税はプラスで2万円。

つまり合計3万円の出費になってしまいます。

ですから、契約書には必ず貼り忘れのないようにしましょう。

 

登記費用

名義人の氏名や住居変更や、抵当権が設定されていた場合には抹消登記、そのほか権利証などを紛失していた場合には本人確認情報の作成

これらを司法書士に依頼する費用です。

名義人表示変更登記だけであれば4万円前後かかりますが、抵当権の抹消や本人確認情報作成が必要になると、さらにプラスで10万以上かかってくる可能性があります。

ですから、不動産の売却を考えている場合には、まず最初に権利証を必ず探し出しておいたほうが良いでしょう。

また、所有権の移転登記に関しては、一般的に買い主負担となるため、表示変更登記や抵当権の抹消が発生しない場合には売り主に登記費用はかかりません。

 

譲渡税

譲渡税は、不動産売却によって利益が出た場合に支払わなければなりません。

この計算式は

譲渡所得の計算式譲渡所得=売却による収入金額-取得費-譲渡費用

となります。

そのほか、所有期間によって税率が変わったり、特別控除などもあります。

 

確定申告は必要?

売却による収入から取得費や諸経費などを差し引いて利益が出なかった場合には譲渡所得が発生しないため、確定申告は行わなくても構いませんが、そのほかの所得と損益通算できる場合もありますから、確定申告はしておいたほうが良いでしょう。

 

測量費

境界確定測量を行う場合に、土地家屋調査士に依頼する費用です。

特に土地評価の高い場合や、長期間保有していて境界が曖昧であったり、数十年前に分筆して境界がちゃんとしていない場合などには必ず行っておきましょう。

費用は面積や杭の有無、立ち合い人数などによって変わってきますが、おおむね30万円~80万円ほど考えておけば良いでしょう。

また、不動産の売却に際して、確定測量図がないと購入を戸惑う買い主もいます。

購入後に隣家と境界問題で揉めて、何年も裁判を行っているというケースもありますから、売り主としてもなるべく測量を行っておいたほうがトラブルの防止になります。

 

建物状況調査費

これは講習を受けた建築士である既存住宅状況調査技術者が行う調査で、インスペクションと呼ばれており、費用はおおむね5万円~10万円ていどかかります。

宅建業法改正によって平成30年4月からは、宅建業者が売り主に対してインスペクションの説明を義務化したため、媒介を依頼した業者から案内があります。

このインスペクションを行うかどうかは強制ではありませんが、売却後に欠陥が見つかって買い主とトラブルになるという事態を避けることが大いに期待できますし、こうした資料があることで買い主も購入を決めやすくなります。

また、古民家などを売却する場合は買い主もどの部分にどんな欠陥があるか気になりますから、調査を行い書面化しておくことで売買自体もスムーズに運べます。

ですから、インスペクションは強制ではありませんが、なるべくやっておくに越したことはないでしょう。

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引越し費用

もし売却する物件に住んでいる場合、ほかの住宅へ引っ越すための費用がかかります。

引っ越しに関しては、距離や荷物の多さなどによって価格がピンキリですが、大手の引っ越し会社のほうが割高な場合が多いです。

ただし、引っ越しは金額が高いからサービスが特別良いというわけでもなく、引っ越し業者を選ぶ場合は大手か中小かはさほど気にしなくても良いでしょう。

もちろん、住んでない物件などを売却する場合には引っ越し費用はかかりませんが、荷物や家具などがあり、買い主から処分を依頼された場合には運搬したり処分したりの費用は発生します。

 

不動産売却で売り主にかかる費用まとめ

不動産の諸費用・税金は次の

不動産の諸費用・税金

  1. 仲介手数料
  2. 印紙代
  3. 登記費用
  4. 譲渡税
  5. 測量費
  6. 建物状況調査費(インスペクション)
  7. 売却予定の物件に住んでいる場合は引越し費用

 

と非常に種類が多く、この中でも特に仲介手数料と印紙代はほぼ必ずかかってくるといってよいでしょう。

しかも不動産という高額の取引である場合、その金額によって変動する仲介手数料が非常に大きな額になりがちであり、ほかにも測量や登記などが必要になれば、それに応じてかかってくる諸費用も増えていきます。

しかし、測量費やインスペクションなどは、希望の売却金額でスムーズに売買できる可能性が高いため、多少費用はかかっても、やっておいたほうが良いと思います。

それと、印紙の貼り忘れや確定申告漏れにも気を付けたいところです。

なぜなら、税金は貼り忘れや申告漏れがあるとペナルティーとして余計な支払いが増えてしまう可能性があるからです。

印紙の貼り忘れは、仲介業者でも確認しますからさほど注意する必要はないかもしれませんが、確定申告は自分で行わなければならないため、申告自体が面倒になる可能性もありますよね。

もしやり方などが分からなければ、税務署や税理士に聞いたりして、必ず行っておきましょう。

今回は不動産の売却にかかる諸費用や税金を大まかに説明しました。

もし不動産を売却しようと検討している場合にはぜひ参考にしていただき、なおかつ売却目的の不動産に関する資料を用意しておき、仲介業者に相談してみても良いでしょう。

ぜひスムーズな売買ができるよう願っています。

この記事の著者

行政書士:長尾 文弘
行政書士:長尾 文弘
建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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