現在はインターネットが発展して、不動産の売買に際して必ず行かなければならなかった法務局に行くことがほぼなくなりました。
それでも、宅建業者は必要な情報を得るために役所には足を運んでいます。
それは、インターネットでは得られない情報はまだ役所で多く取り扱っているからです。
主に情報を入手する課は次のとおりになります。
- 受付
- 建築課
- 道路課
- 都市計画課
- 開発課
- 環境課
- 区画整理課
- 固定資産税課
- 上水道・下水道課
- 教育課
このように、ざっと見るだけでもかなりありますね。
宅建業者は重要事項説明書を作成するための情報としてこれらの場所を回ることはあります。
しかし、残念ながらすべての業者が親身かつ丁寧に対応しているとは言えず、なかには売買の当事者が無知であるために適当な対応をしている人もいます。
実際に売買を行って損をするのは当事者ですから、重要事項説明書を読んで違和感があれば、当事者が直接役所に足を運んで情報を確認することも検討したほうが良いでしょう。
では、その時にどの情報をどの課で調べれば良いのかを知っていればスムーズに各部署を回ることができ、慌てることがありません。
ぜひどの情報をどの課が扱っているのかを大まかにでも知っておきましょう。
受付
基本的にどの情報をどの部署で聞けば良いかは、受付で教えてくれます。
ですが、ハザードマップを入手する場合には自治体によって部署名が大きく違うので、ここで聞くのが一番手っ取り早いです。
物件を売却する場合においても、近年は災害に対する意識が高まっている買い主は結構増えてきていますので、売り主側としても物件がどんな場所なのかを把握しておく必要があります。
なお、ハザードマップは無料の場合と有料の場合がありますが、有料であっても100円程度で入手できる場合がほとんどですので、ぜひ手に入れておきましょう。
ハザードマップはインターネット上でも簡単に調べることができますので、ぜひ一度は所有している物件のエリアを確認しておきましょう
洪水、土砂災害、津波、急傾斜の崩壊など、日本中であらゆる災害が起こる可能性があります。避難場所も同時に確認しておきたいですね。
建築課
建築課で調べることができる情報はいくつかあります。
主に
- 再建築などをする条件に制限はあるか
- 既存建物の建築確認番号や建築計画概要書について
- 二項道路の情報
- 位置指定道路の確認
ここではどのような条件を整えれば再建築が可能なのか、セットバックはどれくらい必要なのか、既存建築情報などについて調査することができます。
特に囲繞地(いにょうち)や旗竿地(はたざおち)は、再建築について厳しい制限が設けられていることがありますから、対象物件が該当する場合は必ず調べておかなければなりません。
道路課
道路課では物件の前面道路の種別や幅員、境界がどうなっているかなどを教えてくれます。
道路の境界によって、どこからセットバックなのか、また、道路番号なども知ることができます。
前面道路の状況などは建築物の制限などに大きく影響してくることがあります、気になる場合は必ず確認しておくと良いでしょう。
都市計画課
都市計画課で確認できる事項は、用途地域、計画道路の確認です。
用途地域というのはその土地に建築できる建物の制限のことで、都市計画法で定められています。
用途地域によっては売買予定の物件の使用目的が限定されてしまうため、売買当事者は把握しておいたほうが良いでしょう。
また、ここでは対象物件が用途地域をまたがっている場合にどのような計算をすれば良いのかも確認することができます。
計画道路については、計画道路の有無や計画道路の事業開始日、完了予定日、道路図などを確認することができます。
都市計画法に絡む情報はここで入手しておきましょう。
開発課
対象物件の開発許可や宅地造成許可について確認することができ、開発に関する図面のコピーのほか、対象物件の周辺の開発の状況も確認できます。
開発によって、近い将来に対象物件の周辺環境が変わることが考えられるため、売買の際に限らず気になる場合は聞いてみるのも良いでしょう。
環境課
対象物件に土壌汚染があるかどうかを確認することができます。
物件の取引を行う場合、一般的にはつい建物の状態や利便性に意識が集中していますが、この土壌の状態がどうなっているのかも非常に重要です。
最悪の場合、健康を害する可能性も出てきますので、やはり知っておく必要があります。
また、ここでは土壌汚染関連の書類を入手できますので、詳細が気になる場合は請求してみましょう。
区画整理課
ここでは区画整理事業の確認を行うことができます。
換地や積算方法について確認することができます。
また、必要に応じて換地証明書なども入手できるため、区画整理が行われている場合には足を運んで情報を確認しておいがほうが良いでしょう。
固定資産税課
ここでは評価証明書を手に入れることができます。
対象物件の評価証明ですから、登記簿謄本を持っていくと良いでしょう。
評価証明書は相続などでは必要となる書類ですが、現在の所有者、場所、面積や地目、そのほかの家屋番号や構造などとともに、固定資産税評価額が分かります。
物件を購入した買い主はその後のランニングコストとして固定資産税がかかってきますから、とても気にする項目ではあります。
固定資産税を毎年支払っている売り主側はある程度把握はしていますが、評価証明書など書面で確実に情報提供できるようにすると親切です。
上水道・下水道課
上水道と下水道で課が分かれていることが多く、ここではそれぞれ上水道管と下水道管の状態について確認することができます。
上水道課では、前面道路の配管の径や、敷地内の引込管の径、さらには過去の水道工事申込書などを確認することができます。
また、書類の写しを貰う場合は媒介契約書や身分証明書が必要になりますから、忘れずに持っていくようにしましょう。
下水道課については、上水道と同じく前面道路の配管の径のほか、雨水の処理はどういう方式か、下水道管の配管図を貰うことができます。
配管がどうなっているかを知ることで、購入者がリフォームする際に2階に水回りを設置できるかなどの参考材料になります。
教育課
対象物件が文化財埋蔵包蔵地かどうかの確認などをすることができます。
これは、要するに貝塚や土器などの埋蔵文化財が包蔵する土地かどうかということです。
意外とごく普通の住宅街でも文化財が埋蔵していることがあり、念のため足を運んでおくと良いでしょう。
不動産を売買する際に役所で調査するべき必要な情報のまとめ
近年はあらゆる場面でIT化が進んで、インターネットなどで細かい情報を調べることができるようになりましたが、それでも不動産については直接足を運ぶことで得られる情報はなかなかインターネットで手に入れることはできません。
不動産には建築や土地の状態、水道管、さらには各法律の制限など様々な分野が絡んでおり、それぞれの情報を過去に遡って詳細まで調べるにはやはり役所の各部署で調査するのが一番手っ取り早く確実です。
基本的には仲介業者が重要事項説明書を作成するためにそうした調査はしてくれますが、その業者もピンキリであまり親身で丁寧に対応してくれないケースも少なからず存在するのが現状です。
ですから、何か違和感があれば極力自分でもある程度調査をできる準備を整えておくと安心ですよね。
取引を行うのは当事者同士ですから、分からないまま進めて後々トラブルに発展するよりは、違和感があればすぐ自分で調べて業者と話し合うほうがリスクを大きく抑えることができます。
また、売り主側は普段からその物件に対して疑問があれば、すぐ役所へ行って情報を調べるようにしておくと、いざ分からないことが出てきた場合にスムーズに動くことができますよね。
ぜひ「分からないことがあれば役所へ行って情報を調べる」という方法があることだけは頭に入れて、不動産の売買をスムーズに進められるようにしておきましょう。
不動産で大きく稼いでいる人とお話しさせていただくことがありますが、やはりご自身で所有している不動産について非常に詳しく、前面道路の状態や関連法規などから再建築した場合にどうなるかなど、役所で得られるような情報から様々なシミュレーションをしておられました。すべてを業者任せにせずにご自身でも深く考えられるようになるのがベストですね。
それでも面倒って方は信頼できる不動産会社と担当者を見つけていただきたいと思います。
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この記事の著者
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建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。
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