不動産を売却するとき、不動産会社に依頼してどれくらいの価格になるのか査定してもらうことになります。
あなたが不動産を売却しようと考えた場合、その査定額はとても気になるところですよね。
その物件がどれくらいの価値があって、いくらであれば売れる可能性があるのか。
そして、実際のその査定価格で売却できたとして、それは自分が納得できる金額なのかどうか。
将来的に資金が必要なケースなどを考えると、手持ちの不動産がいくらで売れるのかはとても興味深いですよね。
ではその査定とは一体どのような方法で行われているのでしょうか?
大きく分けると、不動産の査定方法は、次の3つとなります。
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- 原価法(主に一戸建ての査定を行う場合)
- 取引事例比較法(主に土地やマンションの査定を行う場合)
- 収益還元法(主に収益物件の査定を行う場合)
それぞれの査定方法の計算式を覚えてしまえば、難しいことではありません。
査定方法の大まかなポイントだけ押さえていれば、自身の不動産がどれくらいの価格になりそうかがイメージできるようになります。
もし、不動産の査定方法がどのようになっているのかを知っておくと、なるべく高い価格で売却するために日頃から気を付けておくポイントなどが見えてきます。
たとえば、不具合箇所をちゃんと修繕しているか、それとも放置しているのかで、査定価格が変わってきます。
もし購入者側の立場であれば、不具合箇所があれば修繕したくなるでしょうし、そのための修繕費用がかかってきますよね。
そうなれば、最低でもその修繕費用分は不動産価格から引いてほしくなります。
それ以上に、まったく管理せずに不具合箇所をほったらかしにしている物件という印象を与えて、果たして高い金額を出して購入したいと思うでしょうか?
中には自分で直せるような不具合箇所も長年放置している人がいらっしゃいます。
不動産の売買は人間相手の取引であるということをあまり意識していない人もいますので、自身の物件の査定方法を知ることで、価値を高めるように心がけたいですよね。
今回は、実際に宅建業者などがどのようにしてあなたの物件を査定しているのかを解説していきます。
原価法とは?
原価法は、再調達価格を計算し、経年劣化による価格を差し引くことによって算定する評価方法となります。
つまり、売却を検討している物件と同じ建物を建築して、そこから経年による設備や建物の劣化を考慮して算定します。
ですから、原価法では建築単価と耐用年数の二つを参考にして計算することになります。
計算式で表すと
建築評価額=建築単価×建築面積(1-経過年数/耐用年数)
となっています。
原価法で使用される建築単価と耐用年数については、国税庁のサイトで確認することができ、それぞれ「建物の標準的な建築価額表」と「耐用年数表」のページがあります。
耐用年数では、事業用建物と自己居住用建物で違いがありますので、注意しましょう。
建物の構造 | 事業用 | 自己居住用 |
---|---|---|
木造 | 22年 | 33年 |
骨格材肉厚3mm超の鉄骨 | 27年 | 40年 |
骨格材肉厚4mm超の鉄骨 | 34年 | 51年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 70年 |
レンガ・ブロック・石造 | 38年 | 57年 |
上記は主な耐用年数となりますが、事業用よりも自己居住用は「事業用×1.5」として計算されます。
耐用年数が経過すると価値はどうなる?
国税庁のサイトで確認できる法定の耐用年数はあくまでも減価償却費の算定基準として決められているものであって、実際の売買においては耐用年数が経過したからといって価値が0になるわけではありません。
たとえば、今まで不具合箇所が出たら改修してきた建物と、何もせず放置してきた建物では将来かかってくる経費も大きく変わってきます。
このように、同じような物件でも個別の事情が異なっているので査定額が変わってくるわけです
土地の評価額は?
土地の評価額に関しては、路線価や実勢価格をもとにして算定します。
路線価や実勢価格については、別の記事で解説していますので、そちらを参考にしてください。
これまでで算定した建物と、土地を合わせた価格が、全体の査定価格となります。
取引事例比較法とは?
取引事例比較法は、査定したい物件の条件に類似する成約事例地をいくつか選択し、環境や形状などの個別要素を比較検討。
また、売却する理由などの事情で修正する評価方法となります。
計算式で表すと、
評価額=事例地の単価×面積×補正率
となります。
この取引事例比較法では、事例地の選択と補正率がポイントであり、宅建業者が査定を行う場合であれば、事例地の選択ではレインズの成約情報などを活用しています。
補正率に関しては、その案件単位で個別の事情や要素を考慮して算定するため、査定を行う業者の裁量や経験値が大きく影響してきます。
自身の売却したい不動産の内容に合わせて、契約する業者を選定する必要があるでしょう。
収益還元法とは?
収益還元法は、収益物件の賃料が将来どれくらいの利益を生むかを予想し、現在の不動産価値を算定する方法で、収益物件向けの評価方法になります。
計算式は、
評価額=1年間の純利益÷還元利回り×補正率
となっています。
なお、1年間の純利益は、1年間の総収入から経費を引いたものになります。
ここで重要なのが還元利回りであり、利回りが低ければ当然不動産価値も低くなります。
また、あくまでも収益性のみに重点を置いているため、個別の要素などはあまり反映されておらず、不動産投資物件として売却する場合に使用することとなるでしょう。
ただし、この場合はリスクもあり、空室リスクや修繕についても考えなければならないため、注意すべき点となります。
不動産の査定をする場合に使用される3つの評価方法まとめ
宅建業者などが行う不動産の査定には、原価法、取引事例比較法、収益還元法があります。
これらの方法によって算出される価格は、あくまでも売却するための妥当な金額を算出するためですから、個別の事情をよく考慮しながら算定されています。
不動産の査定に使用されている3つのポイントを挙げると、
原価法
建物部分では改修の履歴や、インスペクションを行っているかどうか、土地については路線価による価格と実際の取引事例の価格にどれくらいの差があるかなどを考慮するのがポイントです。
取引事例比較法
計算に使用される事例地の選択は適切かどうか、宅建業者はレインズを活用し、同業他社からの情報等も考慮しているかなどもポイントです。
収益還元法
収益還元法では還元利回りの設定が一番重要となるため、上記の原価法や取引事例比較法などの査定も行って、納得できる利回りとなっているかがポイントです。
それぞれの査定方法のポイントのほか、心理的瑕疵や建物、設備の劣化状況など全体的に確認し、その不動産の正当な価格を算定する必要があります。
また、建物の査定に関して、法定耐用年数が定められてはいますが、あくまでも国が定めた減価償却の算定基準であって、法定耐用年数が過ぎたからといって価値が0になるわけではありません。
不具合箇所があればちゃんと修繕をしているか、経年劣化しても劣化しているように見せないような改修をしているかも考慮されて算定されます。
もし管理をほったらかしにしている物件を購入者が見た場合、条件は良くても印象が悪くなり、購入の意思の問題に発展することがあります。
ですから、普段から自分の所有する物件には愛着をもって管理し、少しでも査定価格が上がるように心がけていきましょう。
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この記事の著者
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建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。
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