不動産の売買において契約までとても神経を使いますが、無事契約を終えたとしても、そのあとに決済手続きをして取引が完了します。
決済では、どのような項目をどのように計算していけばいいのかなどを仲介業者がメインとなって先導してくれますが、実際に金銭のやり取りがあるのは売り主と買い主であるという意識を持っておくべきです。
一般的に不動産売買では契約時がもっとも緊張する場面ではありますが、買い主側が税金などの負担が発生するのはこの決済日を境として決められます。
ですから売買の当事者にとってはこの決済日も契約と同じく重要な場面となります。
不動産の売買は契約に至るまでの過程で物件を調査するなど、色々と大変な面があるため、契約がゴールというイメージを抱きやすいです。
ですが、実際には契約を行っても決済が終わらないかぎりは取引完了とはならないため、ぜひ最後までの流れは把握しておいたほうが良いでしょう。
目次
固定資産税・都市計画税の清算はどうすればいい?
固定資産税や都市計画税は毎年1月1日にその不動産を所有している人に支払い義務が発生します。
ですが、不動産売買が発生するとその年の途中で所有者が変わるため、固定資産税については売り主と買い主で分けなければなりません。
ではそれをどのように分けるかというと、1年を365日として、1月1日の起算日から決済の前日までは売り主、決済日移行は買い主として日数を計算します。
具体的には売り主側が固定資産税と都市計画税の金額がわかる書類として、毎年4~6月ごろに所有者へ送られてくる「納税証明書」の写しを使用します。
なお、もし売り主側は納税証明書を紛失していた場合には役所で「固定資産公課証明書」を有料で入手できますので、その書類で代用します。
また、固定資産公課証明書を入手する場合には売り主側の仲介業者に依頼してみましょう。
確定申告の計上科目はどうなる?
この固定資産税と都市計画税は、確定申告をする際に売り主と買い主で計上科目が異なってきます。
売り主側は税金として費用にすることができますが、買い主側は今回の不動産売買で取得した物件価格に決済日移行の税額を上乗せして固定資産として申告しなければなりません。
意外と全額を費用として申告する人がいますので、注意しましょう。
投資用物件で引き続き管理会社等に委託する場合の清算
売買目的の物件が投資用である場合には、売り主側が管理会社や清掃業者を利用していることが多いです。
その場合にも固定資産税などと同様、売買の決済前日までが売り主、決済当日移行は買い主と分けます。
また、こうした計算は仲介業者も計算してくれますので、内容についてよく確認しておきましょう。
よく契約日を境にして費用の分担が決まると思っている方がいますが、あくまで決済日で分けるのが基本です
投資用物件の家賃、敷金等の清算
こちらも売買物件が投資用物件であった場合の清算になります。
投資用物件ですから家賃収入が入っていることが多いと思います。
その場合でも決済前日までは売り主、決済当日移行は買い主で分けることになり、敷金がある場合はその金額をそのまま売り主から買い主へ移します。
なお、敷金は関東と関西でルールが違うことがあるため、重説や契約書に盛り込んである場合には清算方法について確認しておきましょう。
その他に必要な金額は?
上記以外に必要となってくる項目のほか、清算金計算書には
- 仲介業者へ支払う仲介手数料
- 手付金
- 登記費用
- 印紙代
などが必要となってきます。
また、もし買い主側がローンを組んで支払う場合はローンの金額や手数料などを盛り込み、決済当日に支払いが必要な現金があればそれを用意してもらいます。
従って売り主側は早めに買い主側へ計算書を用意する必要がありますから、売り主は仲介業者が計算しやすいように必要書類を揃えておくと良いでしょう。
金種の作成とは?
決済で清算する金額が決まり次第、金種の作成に取り掛かることになります。
金種というのは、当日の現金の引き渡し方法や、金額を一覧にしたもので事前にこの金種を作成しておくことで間違いなくスムーズに振り込みなどをやり取りできるようになります。
というのも、不動産売買の決済についてはどの項目を現金で支払い、どの項目をどの口座に振り込むかなど、一括でまとめて払ってOKというわけにいかないからです。
特にノンバンクなどの金融機関は振込伝票を作成しなければならないため、金種の提出を求められます。
注意点は、売り主側は銀行口座の番号を間違えないようにしてください。
もし間違えてしまうと振込がうまくいかなくなり、決済が大幅に遅れてしまうからです。
できれば売り主は仲介業者へ口頭で伝えるのではなく、通帳の口座番号のページの写しを渡すなど、間違いのない伝え方をしてください。
通帳の口座番号は、写しを渡す、メールで送るなど、間違いのない伝え方をしましょう
決済当日に売り主と買い主が用意しておくものは?
決済当日の場面では、売り主と買い主はそれぞれ次のものを用意するのが一般的です。
売り主 | 買い主 |
---|---|
|
|
このほかにも売り主側は住所変更登記が必要であれば住民票や戸籍の附票が必要となります。
清算の計算などで作成した金種は売り主側の仲介業者などが用意し、決済当日に持参してきます。
場所は金融機関の応接室などで、売り主と買い主のほか、金融機関の担当者や仲介業者、司法書士などが集まって行います。
決済手続きは業者等が進めていくことになりますが、重要なのは売り主と買い主が顔を合わせる場は基本的にこの決済の場が最後になります。
ですから、買い主側は売り主側に対して質問することがあれば、この場で聞いておくと良いでしょう。
なお、投資用物件の取引である場合は、決済の場で鍵を一つ一つ確認していく作業などがあるため、多少時間がかかってしまうことがあります。
売買契約後の決済時に清算する金額はどうやって計算する?のまとめ
不動産の売買は物件に関する情報集めから仲介業者への相談、買い手を見つけるための広告など、契約に至るまでが非常に労力を使います。
ですが、無事に契約を終えたとしても安心はせず、決済を行うことで取引が完了するといって良いでしょう。
その決済を行うためには固定資産税や都市計画税の計算、投資用物件であれば管理費や清掃費がどれくらいかかるのか。
さらには手付金や手数料など、様々な項目について金銭のやり取りが発生します。
これらの項目をすべて盛り込んだ金種を作成することで、決済当日にスムーズに手続きができるようになります。
金種は仲介業者が作成してくれますが、ここで売り主側が通帳番号などを間違えてしまうと決済が完了できず、結果的に決済がかなり遅くなってしまうことがあるため、そこだけは絶対に間違いがないように、金種を作成する仲介業者に預金通帳の口座番号の写しを紙ベースで渡すなど、金種への誤記入を防止しましょう。
決済当日においても用意するものを一つでも忘れてしまうと取引が完了できなくなりますから、少なくとも前日までには一式をすべて揃えておき、当日は持ち物に不備がないか必ず確認してから出かけるようにしてください。
実印や身分証明書などは自分で用意しなければいけないものなので、忘れてしまうと決済日が大幅に遅れてしまいかねませんので気を付けてください。
決済手続きは入金完了の確認をして取引完了となりますが、基本的に売り主と買い主が顔を合わせるのはその場が最後です。
ですから質問したいことがあればその場で質問し、なければ必ずお礼を伝えて気持ちよく終わりましょう。
不動産取引のゴールは契約締結ではなく決済であるという認識を持つようにしてください
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この記事の著者
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建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。
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