不動産の売却は人生のうちでそう頻繁に経験することはありませんよね。
しかし、その数少ない不動産取引ですから、実際に所有物件を売却した場合に、どのように引き渡せば良いのかを考える人はあまり多くはないと思います。
不動産を売却するうえでは、どのような状態で引き渡すのかということは、売り主と買い主で食い違いは起きやすく、非常に神経を使う場面でもあります。
不動産をどのような状態で引き渡すかについては、契約までにしっかりと話を詰めておきましょう
引き渡し方法については大まかに定義すると主に
- 現況渡し
- 更地渡し
- 内装渡し
の3つがあります。
内容はそれぞれ
現況渡しはその名のとおり、現状のままで引き渡し。
更地渡しは、古家などが建っている土地を、建物を取り壊して土地を引き渡し。
内装渡しは、リフォーム工事込みで引き渡す方法。
だと考えてください。
これらは一見して単純な話に見えますが、実際に行ってみると様々な問題が発生することがあります。
何事もスムーズにうまくいくことはなかなかありませんが、こと不動産の引き渡しは非常にデリケートな部分が多く、気を付けるべき点がいくつも存在します。
売り主、買い主双方のトラブルを防ぐためにも、物件の引き渡し方についてはぜひ覚えておきましょう。
目次
現況渡し(現状の状態で引き渡す)
現状の状態で引き渡すケースで、中古物件の半数以上はこの現況渡しが行われています。
ただし、現況とはいっても屋内の家具やゴミなどは売り主側があらかじめ処分しておく必要があります。
この現況引き渡しで気を付けたいのが、当初確認していた内容が実際には違っていた場合などが考えられます。
契約にあたって、設備付帯表を添付したり、建物状況調査を行ってその結果を伝えたりしますが、それでも売り主しか知らないような情報があり、最初に聞いていなければトラブルになる可能性があります。
ささいなことでも売り主側は、買い主へ説明しておかなければならないので、心がけておきましょう。
更地渡し(更地の状態で飼い主へ引き渡す)
更地渡しは、更地で渡すことを条件とした古家付きの土地などを売却する場合に行います。
この場合、主に売り主側の負担によって建物を解体し、更地の状態で買い主へ引き渡すことになります。
このケースで注意したいのは、ただ建物を解体するだけでなく、地中を掘り起こして木の根っこや前の建物の基礎なども取り除かなければいけないケースもあります。
その場合、適切に埋設物の処理を行うために切土や盛土などの工事が必要になり、その結果売り主側の金銭的な負担も大きくなってしまいます。
さらに建物の滅失登記の手続きなども必要となってくるので、現況渡しと比べる売り主の負担が大きく違うことが分かっていただけると思います。
更地渡しと一言で言っても、上記のように建物の解体だけで良いのか、それとも地中埋設物の処理を含めて行うのかといった違いが出てくるため、買い主側が購入後にどうしたいのかを話し合ったうえで売買契約を結ぶ必要があるでしょう。
更地渡しの場合は、このように現況渡しと比べるとやることも費用も大きくなります。
その分、売り主と買い主ですれ違いがあるとトラブルにも発展しやすいため、あらかじめ、役所などで過去の建築物を調査し、費用を計算し、どこまでを双方が行うのか、また解体工事中などに新たに発生した問題に対してはどうしていくのかなど、入念に詰めておく必要があります。
ただ、買い主側としては更地で手に入れることによってさまざまな建物をすぐに建てられるなど、活用の幅が大きくなりますからそれらを含めて売買価格を取り決めていきましょう。
また、こうした調査は仲介業者に相談して行ってもらいましょう。
内装渡し(リフォームを行って引き渡す)
内装渡しは、物件内部のリフォームを行って引き渡す方法です。
例えば、店舗などでよくみられる「居抜き物件」も、内装が何もない状態にリフォームして引き渡し、スケルトン渡しともいわれますがこの内装渡しの部類に入ります。
逆に中古住宅を内装渡しする場合にはクロスやフローリングなどをリフォームして引き渡すこともあります。
この場合、買い主側へ提供する資料として内装工事の仕様書と施工図面を用意します。
ただ、それでも買い主のイメージする状態と実際の状態に食い違いが発生する可能性があります。
そうした食い違いを少しでも防ぐために、いくつかのポイントがあります。
工事の内容について可能な限り買い主に選んでもらう
売り主側の予算に大きく影響しないようであれば、なるべく買い主にクロスやフローリングの材質、色などを選んでもらうようにしましょう。
意外と、思っていた色や模様と違うだけで印象が大きく変わってしまいますから、買い主本人が選んだものであれば食い違いも防ぐことができます。
また、住宅設備に関しても、価格や品質が同程度のものであれば買い主に選んでもらうようにしましょう。
このように買い主側に選んでもらうというのはなかなか難しい行動かもしれませんが、そのほうが買い主側も満足度も高く、自分で選んだものですから売り主に対する不信感なども起きにくいです。
ぜひ検討してみてください。
施工業者の今まで工事した内装事例を紹介する
実際に内装を工事した業者の実績を、動画などで買い主側に紹介するのも内装後の食い違いを防ぐために役立ちます。
また、可能であれば実際に施工した物件を案内するという手もあります。
これであれば、完成済みの内装をそのまま感じ取ることができ、購入した物件がどのような内装になるのかが一目瞭然です。
ぜひ担当する仲介業者に、実際に内装工事を行った物件を案内してもらえるかの相談をしてみると良いでしょう。
不動産の売却後に知っておきたい3つの引き渡し方法のまとめ
不動産の売却を検討している場合には、買い主側へどのような状態で引き渡すかを考える必要があります。
引き渡しの方法には大きく分けて3つあり、それぞれ「現況渡し」「更地渡し」「内装渡し」があると思ってください。
そのうち過半数以上は現況渡しが行われていますが、更地渡しと内装渡しについてはとくに注意が必要です。
更地渡しに関しては、古家付きの土地を引き渡す場合に行われることが多く、その際に建物だけを取り壊すのか、それとも地中を掘り返すのかを買い主側と打ち合わせておかなければなりません。
また状況によっては思わぬ出費が発生するのも、この更地渡しの注意点です。
例えば、工場跡などである場合には地中の基礎が思ったより大きかったり、産業廃棄物が埋まっていたりというケースもあります。
そうなれば予想よりも多く費用がかかってしまい、売り主が負担した場合は不満が発生しますよね。
当然費用が多くかかってしまうとなれば、売買金額についても文句を言い始めるといったこともあります。
ですから、更地渡しの場合には建物の解体撤去だけでなく、地中を掘り起こした際に思わぬ埋設物が出てきたときの処理、処理が難しい場合の対策等、また、それにかかる費用はどうするのかなど、しっかり話を詰めてください。
内装渡しについても、売り主側は内装渡し=出来栄えはお任せ といった考えは捨てるべきで、なるべく買い主側の要望に応えられるよう、完成イメージを見せ、素材や色、柄などを予算の範囲内で買い主側に選んでもらうという工夫を行ったほうが良いです。
これらを考えると、現状渡しでも瑕疵について気を付けなければなりませんが、それ以外の状態で引き渡すことになった場合はとくに注意すべきであることがお分かりいただけたでしょうか。
現在住んでいる家を売却するということであれば、現況渡しになる可能性も高いですが、例えば相続で親の家と土地を受け継いだが、地上の建物が古すぎて売却したいといった場合ですと、古家付き土地売却で更地渡しになる可能性もあります。
このように、その人によって状況は様々ですがどのように引き渡すかを買い主側と話を詰めていくのは当然として、事前に仲介業者とよく相談し、スムーズな取引をしていきましょう。
担当する仲介業者と信頼関係をしっかりと築いて、最初から最後まで相談し合って売買を進めてください。
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この記事の著者
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建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。
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