不動産売買で知っておきたい3つのインフラ。電気、ガス、上下水道のこと

不動産売却の相談・方法

インフラについては、その物件の売買の当事者双方も当然に知っておく必要があります

不動産売買では仲介業者による不動産調査を行いますが、その中でもインフラとして上下水道、ガス、電気については不具合があると生活に支障をきたすため、重要な項目となっています。

このそれぞれのインフラについては、その物件の売買の当事者双方も当然に知っておく必要があり、状況に応じて問題点があれば解決し、改善点があればそれを改善していけなければなりません。

たとえば、電気の容量を増やす場合に配線工事が必要になる場合や、プロパンガスを切り替える場合に規約金が発生することになるなど、あらかじめ問題を解決しておくか、情報を知ったうえで対応していかなければ、後々になってトラブルになることは間違いありません。

ですから、事前に業者と打ち合わせをしたとしても、あまり深く考えずにいると、後になってそのようなことが発生してしまうリスクがあるわけです。

不動産売買に慣れていない場合、どうしても外観や立地のみで判断しがちですが、その物件に居住する場合は快適に生活することが目的となっているはずです。

表面上だけでなく、ぜひこうしたインフラの部分にも目を向けてスムーズな取引を行っていきましょう。

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行政書士 長尾

いずれも目に見えにくい部分の話になるので、どうしてもおろそかになりがちです。目に見える不具合となる前にぜひ対策をしておきましょう

電気の供給について調べる

電気の供給について調べる

電気について確認するのは、「電気容量」と「配線経路」です。

売り主側であれば電気容量については今までの契約をしているので把握している可能性が高いので質問すれば良いだけですが、問題は配線経路がどうなっているかです。

築年数が新しいものであれば、容量の大きい家電製品に対して配線が分けられていることが多いですが、逆に築年数の古い物件の場合は配線経路が一緒になっていることがあります。

すると、どうなるかというと、同時に家電製品を使用した場合に頻繁にブレーカーが落ちることになり、生活していく上でストレスのもとになってしまいます。

ですから電気の供給がどうなっているかは、取引が成立して実際に物件を使用してからストレスとならないように、事前に売り主と買い主双方が知っておくべき項目です。

もし上述のように電気容量も小さく、配線経路が分けられていない物件であった場合には、買い主側は電気容量の契約をどうするか、また、電気配線工事を行うかどうかなどの打ち合わせが必要になってきます。

ガスの供給について調べる

ガスの供給について調べる

ガスについては、「都市ガス」「プロパンガス」の2種類があることは皆さんご存じですよね。

都市ガスの場合は、都市ガス会社が本管、引込管、埋設位置などを把握できるサービスを展開しています。

例えば、東京ガスであれば東京ガスネットワークパイプラインインフォメーションサービスというウェブサイトで指定の敷地内や周辺のガス管埋設状況や供給管の有無といった情報を提供しています。

一方、プロパンガスについては、方式が2つあり、それぞれ「個別方式」と「集中方式」というものがあります。

方式の違いは、

  • 個別方式=戸建て
  • 集中方式=共同住宅

のイメージで良いと思います。

個別方式は、戸建ての裏手に回るとよく鎖で固定されたガスボンベを見かけますよね。

それに対して集中方式では大型のガスボンベから各部屋に供給されているタイプとなります。

最近では都市ガスが増えてきたものの、まだプロパンガスは各社が独自のサービスなどを展開していることもあり、使用しているところは多いです。

そのようにプロパンガスを使用している場合は、利用する期間を定めている場合があるため、いつまでの契約なのかを知っておいたほうがよいでしょう。

例えば、もし買い主が都市ガスへ切り替えた場合に、前のプロパンガスの利用契約期間が残っていたら違約金が発生する可能性があります。

これも当然、前もって確認していれば分かることなので、よく打ち合わせておく必要があります。

上水道について調べる

上水道について調べる

上水道は役所の上下水道課や水道局で情報が手に入ります。

上水道に関しても、工事を検討しなければならないケースが出てきます。

それは例えば、口径が細い場合は水圧が低いため、買い主の家族構成によっては配管の太さを変えなければいけないような事例が発生します。

また、その場合に問題になるのが本管の埋設位置です。

なぜかというと、本管の埋設位置の距離のよって、変更費用が上下するからです。

配管位置が遠いほど費用も高くなり、それこそ数百万円単位になることもあります。

ですから、本管の埋設位置については把握しておくと良いでしょう。

そうすることで、工事が必要になった場合にどれくらいの予算がおおむね必要になるのかを想定することができるからです。

なお、対象物件が囲繞地である場合、その本管が公設ではなく私設である可能性があります。

もし私設管であった場合、所有者の同意や費用などが更にかかってくるため、よく内容を把握しておくとよいでしょう。

下水道について調べる

下水道について調べる

下水道についても、上水道と同じく本管や引込管の太さ、埋設の位置、公設か私設かを確認します。

また下水道の場合には排水処理の方法として2種類あります。

  • 浄化槽処理
  • 下水道処理

このうち浄化槽で処理している場合は、古い物件ですと浄化槽の交換費用や、定期的に清掃や点検が必要になり、その都度費用が発生することになります。

また、下水道は上水道と比べると非常に複雑で、排水の種類や雨水の処理、上記のように浄化槽か下水道かの違いもあり、その下水道にも種類があります。

排水 雨水、汚水、雑排水
排水処理 浄化槽、下水道
下水道 合流式、分流式
雨水処理 雨水管、浸透処理、側溝処理

 

細かい説明は省きますが、汚水と雨水のほか、雑排水とはトイレなどの汚水とは別で、風呂場や洗面、台所の排水になっています。

また、浄化槽とは別の排水処理をしている下水道については、合流式と分流式があり、すべての排水をまとめて同じ下水道管で排出するのが合流式、

排水それぞれを分けて排出するのが分流式となっています。

現在は水質保全のために分流方式が主に採用されています。

雨水の処理にも3種類あり、雨水管は下水に流し、浸透処理は地下に吸い込ませ、側溝処理は道路の側溝に直接流すことで処理しています。

下水道管について全般的に注意すべき点は、下水道管の内部は目に見えない場所にあり、なおかつ汚れが非常に溜まりやすいため、詰まりやすい状態などを長年放置していると排水管トラブルになることです。

もしそうなると、排水管の交換工事などが必要になり、費用もかなりかかってきます。

古い物件であるとか、こまめに清掃やメンテナンスを行っていない場合は、交換費用が必要になることも念頭に置いておくと良いでしょう。

不動産売買で知っておきたい3つのインフラ。電気、ガス、上下水道のこと

不動産売買で知っておきたい3つのインフラ。電気、ガス、上下水道のこと

不動産売買においてはどうしても外観や立地などに主眼を置いて価格を考えがちですが、実際に住んでいくうえで電気や水道、ガス回りに不具合があると非常にストレスが溜まってしまいます。

家電を複数使用するとすぐにブレーカーが落ちてしまう、ガス代が高いから都市ガスに切り替えたのにプロパンガスの違約金が発生してしまう、水回りを希望通りのリフォームしようとしても配管工事でかなり高額になってしまうなど、インフラ関係がどうなっているのかをあらかじめ知っておかないと、後々になってこんなはずではなかったという事態になってしまうことでしょう。

こうした事態を防ぐためにも、仲介業者は電気の配線や水道管、ガス管の状態を調査することになりますが、売り主や買い主もある程度気にして知識を持っていないと、深くまで突っ込んだ質問することができません。

買い主側は、例えば売買契約が決まって物件が引き渡され、実際に住み始めることを想定して考えてみると良いでしょう。

想定したうえで、現在の物件の状態がどうなっているのかを把握し、希望通りの生活をしていくうえで工事費などはいくら必要なのか。

今度はそれを知ったうえで売買代金の交渉をどうするのか等、適切に手順を踏んでいけばトラブルに発展することは限りなく減らすことができます。

ですから、不動産売買においてはインフラ回りの状態もどうなっているのかを必ず把握したうえで、スムーズな取引を行えるようにしていきましょう。

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行政書士 長尾

信頼できる仲介業者であればインフラ回りのことも細かく調査してくれます。売買当事者は気になるところがあれば遠慮なく質問を投げかけてみましょう。

この記事の著者

行政書士:長尾 文弘
行政書士:長尾 文弘
建築・不動産が好きなファイナンシャル・プランナー。行政書士。元不動産営業マン。
神奈川県横浜市出身
40代既婚
人生の中で大きい取引になる不動産。
その不動産の取引に関する基礎的な知識、不安の解決、ノウハウなど、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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